vol.3

今までとは違う視点・テーマで音楽をとらえて紹介します

ゆく夏を惜しみながら聴く曲

ジリジリと肌を刺すような暑さに、ウンザリしながら過ごした夏。
そんな暑さもお盆を過ぎたあたりから勢いを失っていく・・・。
人はなんて勝手なのだろう。
にぎやかだった夏の海も熱帯夜の街の喧噪も、秋の気配がすべて飲み込んでいくと、もの悲しさを感じてしまう。。

sky

こんなとき聴きたくなるのが、坂本龍一の「Falando De Amor」。 坂本龍一とチェリストのモレレンバウムが奏でるボサノバは哀愁たっぷりで、夏の終わりによく合う。
「あ、秋がやってきた・・・」
久々に見渡した空には、白くモクモクと厚ぼったかった雲が、知らぬ間に姿を消していた。 底抜けに広がる空には、青く繊細な雲が空高く浮かんでいる。 ゆく夏の暑さを吸いとった初秋の夕焼けに、少しだけ覚える心細さ。
こんな日は早めに家に帰り、アルゲリッチの「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番」を、ミルクたっぷりの紅茶を飲みながら聴こう。 音大時代、オケの定期演奏会で弾いたこの曲。秋の本番にむけて、一生懸命練習した夏を思い出すと、今でも前向きになれるから。
迎える秋のために・・・。(選曲:チェロ講師:富樫亜紀)


Falando De Amor

Falando De Amor

2000年7月29日、ヨーロッパ・ツアーを終えた坂本龍一が、ロンドンのホテルのロビーで行なったシークレット・ギグのライヴ盤「IN THE LOBBY AT G.E.H. IN LONDON」。
「Falando de Amor」はジャキス・モレレンバウムのチェロとパウラの歌声に4歳の愛娘ドラが途切れ途切れのハーモニーで重なるのが微笑ましい。アットホームな雰囲気が演奏をとおして感じられる。

ラフマニノフ;ピアノ協奏曲第3番

ラフマニノフ;ピアノ協奏曲第3番
アルゼンチン出身のピアニストであるアルゲリッチは、世界のクラシック音楽会で最も高い評価を受けているピアニストのひとり。そのアルゲリッチの代表的な録音2つをカップリングしたのがこのCD。
両方ともライヴで、アルゲリッチの情熱的な音色に心が揺さぶられる。30代後半の脂ののった天才の豪快で緻密な演奏が堪能できる。